▲次回公演

今は演劇にそんなに詳しくないけど実は観たいと思ってる、潜在的な人たちを呼び込めるようなWEBやITの使い方もみつけて欲しいです。

「…と、言いますと?」

例えば全国にいる、高校演劇部のOBたちです。


↑向かって左がSTUDIO OVER DRIVEの面々、右のイケメンが富田さん、撮影がイトウです
(記事を投稿するたびに同じ写真で恐縮ですが、この一枚しか撮影しなかったので仕方ないです)
▼前回の投稿
⇒【IT×演劇 番外】モバイル・オリコミの企画書を公開しました

▼前前回の投稿
⇒【IT×演劇 2】演劇じゃヒルズは無理ですよ?

▼前前前回の投稿
⇒【IT×演劇 1】舞台用プロダクト・サービスの技術者集団emoted

「高校演劇ですか」

いや、あくまで高校演劇部のOBです。今は社会人になって、演劇について考える時間や機会が無くなってしまった人。だって、全国には高校が5000校以上あって、その半分くらいは演劇部があるとして、毎年10人ずつとかOB・OGを吐き出すんですよ、超ざっくりですけど。少なく見積もって年間2.5万人、10年で25万人、演劇に興味がある人間が吐き出されてる。

「たしかに」

だけど、小劇場界って、ほぼイコール東京、せいぜい関東一円って感じですよね。それ以外の地方に住んでる高校演劇OBたちは、社会人になったら、演劇をやる機会も見る機会も不十分なまま残りの人生を過ごしてるんじゃないですか。映画みたいにTSUTAYAで借りれないし、音楽みたいにCDとかitunesで買えないし。

「いや、東京以外の小劇場の方も活発に活動してますし、最近は地方公演で全国を回る関東の劇団も増えて交流はだいぶ密になってきてますよ。僕の知り合いでも地方で公演を打ってる人もいますし」

それでも、過半数が東京に集中していて、残りの半分未満を40道府県で割ってるってのは、普通じゃないと思います。イトウとしては、その状況を打開するためには、やっぱり光ファイバーの力を借りるしかないと思うんです。

「ネットを使ってということですか?」

はい。そういう人たちって、高校時代は部室にあった東京の小劇場界の戯曲やビデオに触れてたはずだし、多少は憧れたりしてたはずなんです。だから卒業後も、同じように首都圏の情報に触れる機会さえあれば、例えば東京の小劇場界と地方の小劇団やそのファン…そして潜在的な演劇人たちが離れ離れにならずにいられると思うんです。

「お芝居を映像でネット配信してるような劇団や劇場さんは、既にたくさんいますよね。Ustでの生配信とか。自分としては、演劇はやはりライブというか、生で目の前で見る空気感、熱量というか、そっちの方を大事にしていきたいと思ってるんですが…」

もちろんイトウもそう思います!お芝居のUst配信とか、劇団が作った面白映像のネット配信とか色々見ましたけど、今まで見たそういうので、面白かったのは一つもないです。ていうか、反吐が出るほどつまらない。劇場で生で見れば面白いのに、先にそれをネットで見てしまった人は「なんだ、クソつまらないじゃん」となってしまう。 とにかくやらない方が1000倍いいようなのしか無いです、今のところ。

「あ、横からいいですか?」
なんですか、STUDIO OVER DRIVEオカザキさん。

「演劇のUst配信とか、Youtubeとかがつまらないのは、撮影の技術とか機材が不十分だからってのがほとんどの理由だと思います。生なら面白いのに、配信ではひどいってのは。カメラの台数とか、編集とか生配信ならスイッチングとか、後、配信前提でお芝居を製作するっていうのも大前提です。作ったお芝居をせっかくだからネット配信もしてみるか、というついでの配信ということでなく。例えば、劇団☆新感線がやってるゲキシネとかはかなり見られるレベルだと思います。」

確かにゲキシネは、生舞台とは違う面白さがちゃんとあるですね。あのレベルでUst配信するなら有りだとイトウも思います。無理だけど!ただ、生配信を前提にということでいうと、ニコニコ動画のやってる、ニコミュとかも、生放送&コメントが流れることを最初から前提に作ってて面白いですね。

「え、ニコミュ面白いですか…?」

内容は正直、一般向けじゃないというか、もう一つという感じだし、役者さんもほぼ素人の人を無理矢理出してたりするんでアレなんですけど。ただアーカイブじゃなくて「生」でお芝居を配信するのが面白いっていうのがわかって作っているというか。

「録画放送じゃだめなんですか」

ダメです!リアルタイムでやってるお芝居に、リアルタイムでみんながコメントするから楽しいんです。24時間テレビの100kmマラソンを録画で見てもなんにも楽しくないのと一緒というか。オリンピックも録画じゃなんかやじゃないすか。

「そんなもんですかー」

観客が全力で(文字で)ツッコミを入れながら舞台を作ってくっていう部分は、ある意味観客がいてはじめて作品が完成する舞台作品とすごく相性がいいんだと思います。

「なるほど」

あと、ネット配信の一番の利点は、客席100席の劇場でも、1000人、10000人と無制限の観客に同時に見てもらえるってことです。それでネットチケットの売上が上がるってのも大きいです。だけど、それより何より、小さな劇場で上演するのが向いてる劇団が、大劇場に進出して作風を壊さないで済むっていうのが、イトウは一番優れてるところだと思ってます。小さい劇場のまま動員数を何万人にでも増やせるっていう。

「でも、ネットで演劇を映像配信するっていうのは…。ネットの活用は大事ですけど、やっぱり自分は劇場に足を運んでくれる人を大切にする側に身を置いていたいです。やっぱりお芝居が僕は好きなんで。」

富田さんの言うことはもっともだと思うし、イトウも賛成です。だから、今まで演劇を見てくれてる人への態度を変えるんじゃなくて、さらにその向こうにいる、本当は観たいんだけど観れない、そもそも芝居に触れる機会がないっていう潜在的なお客さんを拾うために光ファイバーを使うべきだと思うんです。

「あ、また横からいいですか?」
どうぞどうぞ、STUDIO OVER DRIVEオカザキさん。

「つまり、イトウさんは機材とスタッフを揃えて演劇の生配信をやって、観客の裾野を広げたいと。で、増えたお客の何割か何%かが実際に劇場に足を運ぶようになればいいと。でも、逆に生配信があるなら、劇場いかなくてもいいや、とか、生配信じゃ面白さが伝わらないばっかりに劇場行くのやめようって思う人も出てきちゃうんじゃないですか?」

うん。だから、単にいまやってるお芝居をネット配信するだけみたいのは絶対したくないです。

「え、じゃあ、一体何がしたいんですか???」



(続く)


▼前の記事
«
▼次の記事
»