前のページ ⇒ ③わたしが学校へ行くのをやめるまで
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学校へ行かず人類滅亡に怯える日々
イトウなんで学校行くのやめたの?
帯金1999
もうすぐ死ぬのに、勉強なんかしてる場合じゃないって
イトウ
学校行かずに何してたの?
帯金1999
家でゴロゴロしてました。
イトウ
勉強しろよ!
帯金1999
恐ろしくて布団から出れなかったんですよ!
イトウ
そこまで?
帯金1999
もう死ぬのが怖すぎるから、死のうと思って笛吹川に飛び込もうとしたことがあります。
出典:wikipedia:笛吹川 ※帯金の地元の川。一級河川。 イトウ
死ぬのが怖いから死ぬってどういう状態だよ…。
帯金1999
ゆかりを刺激してはいかんってことで、帯金家では「アルマゲドン禁止令」も出ました。
出典:Yahoo!映画 アルマゲドン
▼アルマゲドン
1998年公開。ブルース・ウィリス主演の、巨大隕石の地球衝突危機を描いたSFパニックアクション。感動大作。
帯金1999
「アルマゲドン」がやる日は、決してテレビをつけてはいけない…という鉄の掟です。
イトウ
ご家族も大変だな
帯金1999
ちなみに「ディープインパクト」を見た時は、ショックで数日寝込みました
出典:Yahoo!映画 ディープ・インパクト
▼ディープインパクト
1998年公開。ミミ・レダー監督による、巨大隕石の地球衝突危機を描いたSFパニックアクション。感動大作。でもアルマゲドンより、けっこう地球がやられる。
イトウ
ご家族も大変だな
帯金1999
父は気を揉み、弟は笑ってましたね。ただ、母だけはわりと平然としてました。
イトウ
そうなんだ
帯金1999
「あんた、暇だから悩むのよ」と、今思えば真理をついた事を言ってました。
イトウ
さすがだ…。
ついに来た!1999年7の月!
帯金1999ということで、1999年になりました。ここまでくると、「7の月」に降ってくる「恐怖の大王」とはいったい何だろう?という、人類滅亡理由の研究ばかりしていました。
イトウ
もはや楽しそう。
帯金1999
私調べによる「恐怖の大王」のラインナップが以下になります。
恐怖の大王候補 帯金調べ
グランドクロス
天体の衝突
地球に大洪水をもたらす氷天体の接近
木星の衛星イオの欠片
核戦争
隕石の激突
ベスビオ山の噴火
土星探査機カッシーニの墜落
ウイルス蔓延
グローバル・ポジショニング・システム
巨大地震
日食
異星人
光化学スモッグ
ロシアの宇宙ステーション『ミール』の墜落
…などなど
イトウ
漠然としたやつから、やけに具体的なのまで揃ってるねー
帯金1999
この中で私が目を付けたのが土星探査機カッシーニの墜落です。
出典:wikipedia:カッシーニ (探査機)
▼カッシーニ (Cassini-Huygens)
アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)によって開発され、1997年に打上げられた土星探査機
イトウ
ほう。
帯金1999
このカッシーニ、動力源でなんとプルトニウムを積んでいました。そしてスイングバイの関係で1999年7月24日に地球に一番接近するらしいと。で、どうもその時ウッカリ地球に墜落して、プルトニウムが恐怖の大王となって降り注ぐんじゃないかという噂をゲットしました!
イトウ
たしかに、これはワンチャンありそうだけど
帯金1999
「プルトニウム=滅亡」…よし、これでいこう!
イトウ
……。
帯金1999
ということで、遺書を書きました。
イトウ
遺書?
帯金1999
はい!
イトウ
いや、人類滅亡したら、その遺書は誰が読むんだよ?
帯金1999
イトウさん!その矛盾、今気づきました!
イトウ
シンプルにバカ! その遺書残ってないの?
帯金1999
すみません。1999年7月25日にビリビリに破って、笛吹川に流しました。
出典:wikipedia:笛吹川 ※帯金の地元の川。一級河川。 イトウ
川をよごさないで!
帯金1999
そして、ついに私は来るべき1999年7月24日を迎えます!
イトウ
変に緊張するなあ…。
運命の7月24日。人類の運命は…!?
帯金1999その日私は、死を覚悟しながら窓から空を見上げていました。
帯金1999
夕暮れをぼんやり眺めながら、ああ、いい人生だったなあと…心のノートに辞世の句を書き連ねておりましたその時です。夕暮れの空の向こうから、一筋の光がスーッと飛んでくるのが見えました。
帯金1999
光の…玉のようなものが。流れ星でもなく飛行機でもなく…見たことのないものでした。それがやけに早めの速度で、接近してきたんです!
帯金1999
あ、あれカッシーニじゃね!?
帯金1999
やばいやばい!死ぬ!これほんとに死ぬ!まさかほんとに落ちると思わなかったので、大パニックです
帯金1999
そして走馬灯がいよいよわたしの頭の中でお祭り騒ぎしだした頃、カッシーニは私の目の前を通り過ぎて、そのまま山の向こうに飛んでいきました
帯金1999
さあ!カッシーニ墜落まで秒読みです!山の向こうで墜落して、滅亡完了です!私は爆風で飛ばされないように窓にかけている手に力を込めました。お父さんお母さん今までありがとう!
帯金1999
世界は……
出典:Knowing
帯金1999
こうなる!
出典:「2012」
帯金1999
こうなる!
イトウ
なんねーよ
イトウ
走馬灯っ!?
出典:河出書房新社 本当は怖い宇宙の話
出典:api.ning.com
出典:フリー素材 GATAG
出典:Pieter Schoubroeck (c.1570 – 1607), “de verwoesting van Sodom en Gomorrah”
出典:Zonnebeke by William Orpen (1918)
出典:wikipedia:最後の審判 (ミケランジェロ)
出典:The Virgin at Prayer – Quentin Massys or Metsys
帯金1999
……そして…あまりにも長い10分が経ったころ…
帯金1999
生き…残った…?
イトウ
という、夢を見た…ってことでいいんですかね?
帯金1999
空を見上げると、夕暮れがさっきより濃くなっているのがわかりました。気が付くと、ただのなんでもない1999年7月24日がそこにあるだけでした。
イトウ
実際、ただのなんでもない1999年7月24日だからね。
帯金1999
完全に生まれ変わった気分でした!一番初めに思ったのは、空気って、こんなにうまいんだと。
イトウ
なんかもう、良かった。
帯金1999
ずっと余命宣告と戦ってきましたから。もう、不治の病が奇跡の完治をとげたような気持ちでしたね。
イトウ
完治…おめでとう。
さいごに
2017年の帯金です。
いかがだったでしょうか?
ノストラダムスの予言集は、何百年も前から世界情勢が不安になるたびに流行ってきたそうです。日本で「ノストラダムスの大予言」が出版された1970年代は、公害問題などで将来に対する不安が蔓延していたりしました。
90年以降も、バブル崩壊で不景気になったり、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件といった社会を震撼させるような出来事が起こったり、日本中に「不安感」があふれていったんですって。こうした状況もあいまって、このままでは本当に人類が滅亡するのではないかという空気に包まれていった…とかなんとか。
いやー、ほんとにこの話、ガチな上に恥ずかしいので今まで人に話したことなかったんですが…恐らく、私のように真剣に悩んでたけどなんとなく言いずらくて悶々とした日々を送ってた人も少なくないはず!
でもこれで一人でも多くのひとに「1999の恋人」に足を運んでもらえたら、私の黒歴史も報われることでしょう!!そしてアンケートにそっと書いてください。
「私もです」と!!!
帯金が、そっとそのアンケートを抱きしめます。
それでは「1999の恋人」@下北沢駅前劇場でお待ちしております!
おわり
■文 帯金ゆかり
■校正・編集 ノストラズ
■協力 Michel de Nostredame
■Special Thanks 帯金家
■企画・監修 イトウシンタロウ
▼1999の恋人・連動企画「1999年に地球が滅亡すると信じて学校へ行くのをやめたら、割と大変な事になった私が「ノストラダムスの大予言」を解説します!」文:帯金ゆかり